The Japan Society of Modern Acupuncture and Moxibustion Research

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会長挨拶

1. 本研究会の発足

現代医療鍼灸臨床研究会が発足したきっかけは、今から約30年程前にさかのぼります。それは私が当時勤務していた東京大学医学部付属病院物療内科(現アレルギー・リウマチ内科)物理療法室での鍼灸の勉強会が契機となりました。この勉強会には鍼灸師の資格を持ったスタッフ職員をはじめとして外部からも参加者がありました。その中で鍼灸の専門学校を卒業してまもない方から、「疾患や症状を現代医学的視点からとらえて鍼灸を行うこと、またそれを考慮した治療が非常に重要であることをこの勉強会を通じてわかったが、専門学校ではほとんどこういったトレーニングや考え方を学ぶ機会がなかった。同じような人が多数いると思われるので、もっと多くの人に教えてあげられないものか。」という要望がありました。
そこで、当時の勉強会主催者のメンバーで職場の同僚であった粕谷大智先生(現リハビリテーション部鍼灸部門主任)と東大老人科所属の安野富美子先生(現東京有明医療大学教授)と相談し、研究会立ち上げに向けて踏み出すことにしました。そして、埼玉医大で臨床・研究に従事している山口智先生(現埼玉医科大学准教授)に話を持ちかけたところ、同じような考えであることがわかりました。また、幸いなことに学会や研究会の発足、運営に経験豊かな人もいて、スムースな形で発足しました。さらに、当時の筑波大学助教授で理療科教員養成施設長の吉川恵士先生にも加わって頂き、1994年10月29日に第1回研究会を東京大学山上会館で開催することができました。

2. 本研究会の特徴・目的

本研究会の特徴は、現代医学的視点から疾患や症状をとらえ、病態を把握し、病態に基づいた治療を行い、鍼灸の有効性、有用性を検討するところにあります。鍼灸治療には、様々な治療法があります。例えば、現代医学的手法、あるいは古典的手法、中医学的手法といった具合に、俗にいう流派というものがありますが、本研究会では特定の治療に限定するものではありません。共通のコンセプトは現代医学的に病態を把握するところにあり、鍼灸治療の効果を科学的な根拠に基づいて評価するというものです。
本研究会の目的は鍼灸医学の進歩と普及に貢献し、鍼灸医療の社会的地位の向上に寄与するところにありますが、目標は医療機関の中に鍼灸を医療手段の一つとして位置付けるところにあります。そのためには医師をはじめとした医療従事者と共通の認識をもって連携し、信頼される必要があります。即ち疾患や症状を現代医学的視点でとらえ病態を把握するという認識を持ち、科学的視点で評価できる力量を持つことと考えます。
このような資質と力量を持った鍼灸師が、医師や医療従事者とチーム医療を進めていく上では極めて重要と考えます。

3. 本研究会プログラムの基本

研究会は通常1回の大会につき、1疾患または1症状を大会テーマに掲げ、じっくりと討論できるようにと討論時間を長く設けました。プログラムの基本は基礎講座、シンポジウム、教育講演からなります。基礎講座では、疾患または症状の基礎的な解説を行い、次のシンポジウムにつなげます。シンポジウムでは、鍼灸臨床の第一線で活躍している鍼灸師を招いて講演と討論を行います。教育講演では大会テーマとなった領域の専門の医師をお招きし現代医学の立場から講演してもらいます。その内容は現代医学的な診断、治療、評価、最新情報等です。
尚、教育講演の医師にはシンポジウムから出席してもらい、討論にも加わっていただきます。専門的な立場から、鍼灸に対する感想をはじめ期待すること、要望など、鍼灸が治療手段の一つになるためのコメントをしてもらいます。
この、基礎講座、シンポジウム、教育講演については、その講演内容を研究会誌「現代鍼灸学」に掲載することにしました。この現代鍼灸学は2001年から発刊し、今年で丁度20巻という一つの節目を迎えます。